小学校受験の有無に関わらず、ほとんどの親御さんは親として自分の息子や娘がどんなふうに育ってほしいかという願いがあるかと思います。
けれども、いざその思いを「家庭の教育方針」という文章にするとなると、定型文っぽくなってしまったり、願いを盛り込みすぎて冗長になったりしがちです。
そこで今回は、小学校受験の願書「家庭の教育方針」の書き方事例!ダメな書き方、いい書き方。ということで、小学校受験の願書「家庭の教育方針」の欄はどんなことを書いたらダメなのか、いい書き方とはどんなことなのかご紹介します。
「家庭の教育方針」は「願い」、「目標」、「手段」を明確にすることが大事!
みなさん「自分の意見をはっきり言える子になって欲しい」とか「自分の長所を伸ばせる子になってほしい」など、お子さんにこうなって欲しいという気持ちがあると思います。
けれども教育方針に「自分の意見を持った子に育って欲しいです」と書いてそれで終わりというわけにはいきません。
家庭の教育方針を書くためには、「願い」、「目標」、「手段」を明確にする必要があります。
「願い」とは「どういう子に育って欲しいか」ということ
例えば上に書いた「自分の意見をはっきり言える子になって欲しい」というのは「願い」です。
どうしてその願いを持つようになったのでしょう?
教育方針を考えるにはまずその「どうして」を文章にすることが必要です。
大抵はお子さんに自立した大人になり、社会で幸せに生きて欲しいというゴールがあるはずです。そこはどの親御さんも一緒です。
ただ、幸せになるためにどんな人間になって欲しいかは親御さんにとって違います。
例えば、他人との差別化を図れるお子さんを育てたいのか、あるいは他人と融和して思いやりあふれる人に育てたいのか。
それらが「親の願い」です。
「願いを叶えるためにどういう力をつけたいか」が「目標」
自主性には自分の意見を持って発言できる積極性が必要だと考える親御さんもいれば、長所を伸ばして自分に自信をつけ、自分の良い部分をアピールできる力をつけることが必要だと考える親御さんもいるわけです。
なりたい大人のためにどんな力を子供につけて欲しいか。
これが「目標」です。
夫婦で「願い」は同じでも、「目標」が違うことは多々あるので、ここはしっかり家族とも本人とも話してすりあわせておくことが大切です。
「手段」とは「願い」と「目標」を叶えるために何をしているか
「願い」と「目標」を達成するために、具体的にどんな方法で教育しているのかが「手段」です。
面接官(校長先生や教師)は、どんな大人に育てたいかという「願い」の他に、そのためにどんな「目標」を持ってどんな「手段」で教育しているのかの具体例を知りたいのです。
例えば、言葉で伝えずに親の背中を見せて育てている家庭もあれば、積極的に初めての体験をさせることで責任感や自分で動く力をつけるというご家庭もあります。
これらが「手段」で、いわゆる「具体的なエピソード」というものです。
その「手段」を用いた結果も書くと、尚且つわかりやすくなります。
ここまでの「願い」「目標」「手段」を箇条書きしてみましょう。
それらを文章としてまとめたものが「家庭の教育方針」です。
自分ひとりで考えるのではなく、これを期に家族会議をするのも良いですね。
願書の「家庭の教育方針」の書き方の良い例・ダメな例
何を書くかが決まったら、今度は「書き方」です。
良い例と悪い例を挙げますので、参考にしてみてください。
文章は1つのことを具体的に
テンプレートによくあるような耳ざわりの良い言葉だけを並べたところで、相手は何千人と子供やその親と向き合ってきたプロです。
すぐ見破られてしまいます。
面接でも聞かれる事柄ですから、あれもこれもと盛り込むのではなく、自分の言葉でわかりやすく、具体的に書く事を心がけましょう。
<記入例文>
います。お菓子はどちらがいいか、洋服はどちらを着るかなど、まず娘に選ばせて親は見守る姿勢で育ててまいりました。
「こうなって欲しい」とたくさんのエピソードを詰め込もうとすると、一つ一つが抽象的になりがちです。
書くものと捨てるものをしっかり整理して、実体験などを交えながら書くようにすると家庭の様子が見えてきます。
面接官が質問しやすい一文を書く
小学校に限らず、受験の願書で「志望動機」や「家庭の教育方針」は、面接時に面接官より質問される部分です。
面接官(先生)も、何か興味をそそられる印象深い一言があると、その部分について詳しく聴きたくなります。
お子さんや親御さんもその一文を書く事により、きっとここを聞かれるだろうとヤマを張ることができます。
<記入例文>
会話調・日記風にならないようにする
あくまでも願書は、先生に「家庭の環境や方針」をわかっていただくためのものです。
思いが強すぎて回りくどい言い方になってしまうと、冗長になるだけでなく日記のように見えてしまいます。
会話調の文章や細かい描写は、できるだけ避けると文がすっきりします。
<記入例文>
そのような体験から自然を愛する心が生まれ、命を大切にする優しい子に育ってくれました。
他者の否定をしない
自分の子供が通う予定の公立校の評判が悪く、受験を考えたという親御さんもいるでしょう。
でもマイナスな感情を文章に出してしまうと、印象が悪くなってしまいます。
あくまでも自分の子供にこうあって欲しいという気持ちを書くので、他者の教育方針を否定するのもやめましょう。
もちろん、志望校の教育方針に反することを書くのはもってのほかです!
<記入例文>
強い断定の口調は論文っぽくなり好まれない
熱心に願書に向き合っていると、つい熱く語ってしまいます。
熱が入ってしまうとつい「こうあるべき」論で書いてしまいがちですが、強い断定の言葉は頭の固い親だと思われがち。
「~に違いありません」と世の中の総意みたいに書くのではなく、自分はこう思うという気持ちで書くと自然な文章になります。
<記入例文>
志望動機と混同しないようにする
教育方針を書くときに、どうしても学校の理念や方針と重ねてしまいがちですが、それでは「志望動機」とたいして変わらなくなってしまいます。
願書の中で一つや二つ共感や感銘があっても良いと思うのですが、たくさんありすぎると安っぽく見えるので、「学校の教育方針」を「家庭の教育方針」に盛り込み過ぎないようにしましょう。
<記入例文>
まとめ:家庭の教育方針は読み手を意識して書くことが大事!
願書は見る相手が見やすいよう、字を丁寧に書きますよね。
家庭の教育方針も、独りよがりにならず読む相手がいることを意識して書けば伝わりやすい文章になります。
少し行き詰まってしまったときは、一旦願書から離れてお子さんとの時間を持つと、きっと心から書きたい文が思いつくはずです。