10歳という節目の年は、二分の一成人式を行う地域も増え、親子ともにこれまでの年月を振り返る、そんな1年といえます。
同時に、これから先の10年に向けて、新たな一歩を踏み出すスタートの1年でもあります。
親にとっては、育児に奮闘した日々をちょっと懐かしく思い出しながら、わが子の成長を喜び、これからはほっと一息つけるかな?と思われることでしょう。
しかし、10歳という年齢は、子供にとって大きな変化が訪れる時期であり、親子関係においても「見守り期」と呼ばれる新たなステージに突入する難しい時期なのです。
児童心理学では「ギャングエイジ」という言葉が使われるように、友達同士の絆を深めながら、時には大人に反発することもあるでしょう。
嘘をつくこともあれば、イライラするような言動も多くなります。
これらはすべて自立への一歩を大きく踏み出した証拠です。
親にとっては、これまでに感じたことのない不安が広がるなど、心が揺さぶられるような気持ちになりますが、1つ1つ成長の過程だと信じ、支えていきたいものです。
今回は、「10歳の子供が嘘をつくのは発達障害?嘘つきの対応・治し方は?」ということでご紹介します。
10歳になっても子供が嘘をつくこと
心身ともに成長著しい10歳というこの時期、大人から見ればずいぶんしっかりしてきたと感じることも多いでしょう。
そんな時期にわが子が嘘をついていたら、皆さんはどのように感じますか?
小さい頃ならまだしも、さすがにいいことや悪いことがわかってきた年代だけに、この時期の嘘は親としてとても不安に感じてしまいます。
(なんで嘘なんかつくのだろう)(どうして嘘が悪いことだとわからないんだろう)
そんな不安が込み上げてくることでしょう。
しかし、この時期の子供というのは、大人のように扱われたいと思う背伸びの気持ちがあらわれる反面、まだまだ幼い子供の部分をあわせ持っています。
ですから、これらが複雑にまじりあい、大人には理解しづらい言動が目立つようになるというわけです。
自我も芽生えてきますから、時には友達同士だけの秘密を持つようになったり、知能の発達とともに嘘をつくようなこともあります。
嘘をつくにも理由がありますが、中にはなんとなく嘘のようになってしまうような曖昧な場合もあります。
どんな時に嘘をついてしまうのか?
- 達成(成功)できなかった時『例:テストの目標点数に届かなかった』
- 行動できなかった時『例:宿題をしなかった』
- 周りの人に良く見られたい時『例:「うちの家はお金持ちなんだ~」と友達に言う等』
- 叱られるのを避けるため『例:自分が窓ガラスを割ってしまったのに、知らないと言う等』
- 誰かを喜ばせたい『例:親が喜ぶからと、将来の夢を医者という(本当はユーチューバー)』
- 嘘をついていると思っていない『単なる勘違いで悪意の無いウソ』
- 腹いせ、いじめ等の悪意による嘘『例:車に傷をつけて、それを他の人のせいにする』
以上、我が子の経験と自身の経験を参考にして、思いつくままに書いてみました。
10歳頃につく嘘には、その年代なりの子供の気持ちが隠れています。
もちろん頭の中では(嘘はいけないこと)ということは十分理解している年齢ですから、強い悪意を持って嘘をつくことは少ないです。
しかし、その場の状況に合わせて知恵もついてきますから、なんとかしようという気持ちがついつい嘘につながってしまったというのが多いといえるでしょう。
親が子供を理解しているつもりでも、時にわからなくなることも多いと思います。
理由があって嘘をついてしまったことを親が理解し、一緒にその原因から考えていくこと、嘘がいけないということを教えることが大切です。
子供の嘘、どう対応したらいいの?
10歳頃になると、物事の良し悪しもだいぶ理解できるようになります。
しかしそれでも自分に起きた問題を解決するときになると、知らずに嘘をついてしまったり、小さな嘘を隠すためにまた嘘をついてしまったりというようなことが起こります。
ではそんな時、周りの大人はどのように対応したらよいのでしょうか?
子供が嘘をつくにはそれなりの理由があります。
ですから、まずは大人が理解することが重要です。
以下の内容をご覧ください。
どう対応したらいいか?
では、子どもがウソをついたとき、どのように対応したらいいのでしょう。
まずよほど悪質なウソでない限り頭ごなしに怒らないでください。先に頭ごなしに怒られてしまうと、萎縮してそれ以上話せなくなる子が今の時代多いからです(耐えられる強さのある子は逆の順番でもOKです)。ウソをつくには必ず理由があります。その理由を聞いてから怒るのではなく、注意あるいは叱りましょう。
≪対応方法≫
・なぜウソをついたか理由を聞く
・ウソをつくことで手に入れようとしたもの(目的)を聞く
・ウソをつくメリット・デメリットを考えさせる
・注意する、叱る
・親も自分のことを振り返る
〔日常の中で意外に子どもの前でウソを言っている親が多く(例:家では嫌いな人の悪口を言っているのに、外に出ると同じ人のことを賞賛しているなど)、子どもはそれを冷静に見ており矛盾を感じながらも、一番身近な大人である親がしているので、自ずと身につけていきます。〕引用元:AACC
以上の中で、親が意識しなければいけないことが出てきました。
その点をまとめると、次のようになります。
<親がしてはいけないこと>
|
この3つは親が意識して行わなければいけないことです。
特に子供が嘘をついたとわかったとき、「最初にするのは叱ることではない」ということです。
親は(嘘はいけないと教えているのに、どうして嘘をついたのか!)という思いが強く、結果にばかりこだわってしまいますが、それこそが子どもに嘘をつかせる悪循環を作り上げているといえます。
どんな子供でも、叱られることは嫌なはずです。
ですので、叱ってばかりの親に対しては、子供なりに叱られない方法を考えます。
10歳にもなればずいぶん知恵もついてきますから、嘘をつくことで叱られないようにしようとします。
そこで叱られると、また嘘をつき…こうして、子供にとっての逃げ道が唯一嘘をつくことになってしまうのです。
こうならないためには、「嘘をついた理由や気持ちを理解してあげること」「嘘で回避しないで正直に言える余裕を与えてあげる」ことが大切なのです。
またもう1つ気をつけなければいけないのが、「親も嘘をつかないこと」です。
親が身をもって正しいことを教えるということです。
口先だけで伝えるのではなく、行動で示さなければいけないということです。
子は親を映す鏡とはよく言ったもので、親が子供の前でついた嘘や、つくつもりがなくても結果的に約束を守れずに嘘になってしまうことは、知らず知らずに子供の心に嘘をついても仕方がないという気持ちを教えていることになります。
子供に嘘をついてほしくないと真摯に思うのであれば、親も心して向き合うことが必要なのです。
子供の嘘つきと発達障害との関連性
時として、これまでご紹介したような対応では解決できない場合があります。
それが「発達障害」との関連性です。
発達障害と一言で言っても、それ自体が名称ではなく、「広汎性発達障害」や「学習障害」「注意欠陥」「多動性障害(ADHD)」など、様々な症状をまとめて一くくりにしている呼び名です。
小さい頃に気づかれる場合もありますが、ある程度成長してから、周りの子との集団生活の中で、どうしてもうまくいかないというところから発見される場合もあります。
それぞれの発達障害には特有の症状があり、医学的には脳の機能によってもたらされるといわれています。
専門家が詳しい検査をしながらどんなことに当てはまるのかを調べていくことで、最終的にどんな発達障害があるのかが判定されます。
現時点で嘘をつくことが直接的に発達障害へと結びつくものではありませんが、あまりに嘘が続く、本人がどうしても嘘についての説明を理解できないなど、大人のフォローもまったくうまく効果がないような場合には、発達障害が隠れている可能性があります。
そんな時には親も一人で抱え込まず、児童相談所や専門のカウンセリング、もしくは専門医などに相談してみることが必要といえるでしょう。
発達障害チェックリストまとめ
専門家に相談する前に、発達障害のチェックリストをまとめましたので、テストしてみるのもいいかもしれません。
ADHD | ADHD NAVI
ADHD.co.jp・・・受診用のチェックリスト |
自閉症 | キッズハグ |
※ 発達障害は病名がたくさんあって分かりにくいですが、りたりこ発達ナビ様で図解で紹介されていて分かりやすいです。
子供の嘘つき、治し方はどうしたらいいの?
まずは周りの大人、特に一番身近な存在である親自身が、子供がなぜ嘘をつくのかについて真剣に向き合うことが大切です。
親は子供が小さい頃から「嘘はいけない」と教えているはずですから、子供が嘘をつくことが信じられない、納得できない、許せないという方も多いことでしょう。
子供を信じているわけですから、嘘をつかれたら悲しい気持ちになってすぐさま叱りたい気持ちはとてもよくわかります。しかしそれでは根本的な解決にはなりません。
なぜなら、思春期を迎えるような10歳頃というのは、嘘がいけないということをわかっているからです。
わかっているのに頭ごなしに叱られたら、子供はかえって反発したり余計に嘘をつくようになってしまいます。
ですから、まずは嘘がいけないとわかっているのに、
「どうして嘘をつかなければいけなかったのか?」「どうして嘘をつくことになってしまったのか?」
そこから理解していかなければいけません。
順序だてて嘘の原因を知ることで、子供が嘘をつかなくてもいいと思えること、嘘をついたら余計につらくなるということを理解していけるように配慮していきたいものです。
さいごに
子供が成長することは親にとってとてもうれしいものです。
しかし成長過程の中には、親にもわかなくなるようなことがたくさんあります。
昔は自分も通ってきた道ですが、年齢を重ねていくごとにいつの間にか忘れてしまい、思い出そうとしてもなかなか思い出せません。
親になり、嘘がいけないことを子供に教えているつもりでも、なかなか子供の気持ちを理解できていないものです。
まずはよい機会として子供にしっかりと向き合い、気持ちを理解したうえで嘘をなくしていけるように見守っていきましょう。