私はこれまで幼稚園教諭として働いてきましたが、その経験からいえることは、
「3歳頃までは、ルールやマナーを守らせるにはまだ幼く難しいので、3歳頃までは叱らずに諭すのがいい」ということです。
しかし、4歳にもなるといい事と悪い事が少しずつ分かるようになってきます。
物を盗んではいけない、順番を守る、スーパーで走り回らないなど、マナーやルールも、少しずつ理解できるようになってきます。
マナーやルールを分かってて守らないといった場合、時には叱ってあげることが必要なときもあります。
もう、「まだ幼いから叱らなくていい」という歳ではありません。
ただ個人差もあるので、4歳になったからいきなり厳しくするのではなく、子どもがどこまで理解できているかを考えて、どう言った場合に叱ればいいのかを決めましょう。
そこで今回は、[保育士直伝]4、5、6歳の子供が言うことを聞かない!男女別の叱り方ということで、ご紹介したいと思います。
基本の叱り方
どの年齢においても、叱り方の基本は同じです。
これをしっかり押さえた上で、年齢別・男女別に対応できるようにしましょう。
子どもの気持ちや理由を聞く
お友達に手を出したり、ダメなことをしたりしたときは、まず叱る前に理由を聞きましょう。
「お友達が自分のおもちゃを取った」「ママのためにした」など、子どもなりに理由があります。
理由も聞かずに叱ると、子どもは自分の意見を言う機会を失ってしまいます。
筆者は幼稚園教諭の経験がありますが、叱るときや子ども同士のトラブルの時に先生方が一番大切にしていたのが、この“子どもの気持ちをしっかりと聞く”事でした。
子どもの言い分を一度肯定する
「嫌だ」「え~めんどくさい」「うるさいなあ」など、生意気なことや理不尽なことを言ってくることも多いですね。
それも、一度「そうだよね」と肯定してあげましょう。
良い事か悪い事かの前に、子どもの気持ちを認めてあげることが大切です。
それだけでも納得する場合もあります。その後で、「でもダメなんだよ」ということを教えてあげます。
正しいことを教える
ここが一番肝心なところですね。
子どもは、どうしたらいいのか分からずに怒られるようなことをしたり言ったりする事も多いです。
「こういうときはこうするんだよ」「こうやって言うんだよ」と教えてあげましょう。
危険なとき、誰かを傷つけるときはビシッと叱る
例えば、道路に飛び出しそうになったときにゆっくりと気持ちを聞いたりしている暇はありませんね。
「危ないから止まって!」など、ビシッと叱りましょう。
子どもはハッとして「今のは危険なことだったんだ」と気づきます。
その後で、子どもの気持ちを聞き、なぜ叱ったのかどうしたらいいかを、しっかり目を見て伝えましょう。
4歳児への上手な叱り方
<男の子>
初めは「片付けようね」と優しく言っていても何回言っても言うことを聞かないと、つい感情的に叱ってしまいますよね。
「いい加減にしなさい」「何回言ったらわかるの」などの、回りくどい言い方は、右から左へスルーされるだけで効果はありません。
「片付けます」と何をするのか具体的に、ビシッと言いましょう。
<女の子>
女の子は親や兄弟のことをよく見ています。
自分がどうすればママが喜んでどうすれば困るのかなど、よくわかっているので、ママを困らせるようなことをすることも多いですね。
叱るときは、怒鳴ったり突き放すような事を言ったりするとますます反抗するだけです。
女の子の場合は、叱るよりも、子どもの気持ちをしっかり聞いてあげることで落ち着くことも多いです。
落ちついたら何がダメなのか、なぜダメなのかを話すようにしましょう。
5歳児への上手な叱り方
<男の子>
この時期の子どもは、男女に関わらず“ああ言えばこう言う”といったように、口答えばかりです。
とくに男の子の場合は、汚い言葉や下品な言葉を使ったり乱暴な言い方をしたりと、大人にとってはムカッとするものばかり、なんてことも多いです。
叱った時に「あーうるさいなあ」と返ってきて「何て言い方するの!」「あなたがダメな事するから怒るんでしょ!」と返していては、子どもと同じレベルで言い合いをしているだけで、何の効果もありません。
そういった口答えは、「一生懸命カッコつけてるんだな~」ぐらいに思って相手にしないようにします。
「そうだよね~」「何回も言ったらうるさいよね」など、子どもの言い分を一度肯定した上で、「でも危ないからやめます」と淡々と対応しましょう。
<女の子>
子どもを叱っているときに、つい他の子と比較して言ってしまうこともあると思います。
これくらいの時期の女の子は、他の子と比べられることを嫌います。
なので、「〇〇ちゃんはできてた」「〇〇くんのほうが賢いね」など、お友達や兄弟と比べるような事を言うのは避けましょう。
子どもは「どうせ私は出来ない」というふうに感じ、ますます叱られるようなことをします。
どちらが賢かった、誰が一番上手、ということに関係なく、1つでも片付けができた、手を出さずに口で伝えようとした、など子どもが頑張ったことをきちんと評価してあげましょう。
6歳児への上手な叱り方
<男の子>
この頃の男の子は子どもにもよりますが、真剣に話を聞かずふざけてばかりという子も多いでしょう。
いくら叱っても、気持ちは集中できておらずに叱られている内容を全然理解できていないこともあります。
一通り叱った後に、「何がいけなかった?」「こういうときはどうしたらいいんだった?」と確認し、子ども自身が自分の行動を振り返られるようにしてあげましょう。
<女の子>
この歳になると、女の子はプライドも強くなってきます。
大きな声でガッツリ叱ると、無視したり口答えしたりするだけなので、落ち着いて注意する方が効果的です。
「これはしてもいいこと?」「そんなこと言ったら〇〇ちゃんはどう思うかな?」「こういうときはどうしたらいいと思う?」など、子ども自身で考えられるように誘導してあげましょう。
答えがでなければ、ママが教えてあげます。
ダメな叱り方にならないように
どの歳でも共通で、ダメな叱り方があります。
そうならないように、叱るときは下記のようなことに気を付けましょう。
クドクドと長くならない
上手な叱り方をしていても長々と叱り続けていては、子どもにとっては嫌な気持ちだけが印象に残るだけです。
叱って子どもが理解できたようなら、叱るのはそこで終わりです。
感情的にならない
いつも感情的に叱っていては、何が悪かったのかどうしたら良かったのか、子どもに伝わりません。
先ほどと同じように嫌な気持ちになるだけです。
落ち着いてどっしりとした気持ちで叱りましょう。
とは言っても、ママもストレスが溜まりつい感情的になってしまうこともあります。
そんなときは、「大きい声で怒鳴ってごめんね。〇〇ちゃんがケガしたら悲しいから、ママ怒ってるんだよ」というように、後からフォローを入れましょう。
きちんと向き合い、同じ目線で目を見て
例えば、向こうを向いている子どもに、ママは料理をしながら叱っていては、子どもに聞こえていても、右から左へスルーされるだけです。
きちんと向き合って、目を見て叱りましょう。
幼稚園の友達など大勢の前で叱らない
4歳ごろからは、幼稚園などに通い出します。
今までは家庭の中が全てだったものがお友達と集団生活をするようになり、様々なことが見えるようになります。
お友達や先生など、たくさんの人が見ている前で叱ることは子どものプライドを傷つけます。
たくさんの人がいるところではきつく叱るのは避けて、ひとこと注意する程度にし、人のいないところに連れていくか、2人になったタイミングでじっくり話すようにしましょう。
さいごに
子どもの性格は兄弟でもそれぞれ違います。
強く叱ってはダメな子、叱られるまで分からない子、叱ってもケロっとしている子など。叱り方の基本や年齢別・男女別の対応のしかたを参考に、子どもひとりひとりに合わせた対応をしてあげましょう。