大事に育てたわが子が、ある時友達の物を盗んでしまったことがわかったら、あなたは親としてどのような気持ちになるでしょうか?
おそらく、(まさか!)(嘘でしょ!)(あの子に限って、信じられない)というように、ショックが大きく、最初はなかなか信じられないかもしれません。
また事実だと頭でわかっていながらも、心がついて行かず、なかなかすぐには受け止められないのではないでしょうか?
しかし、起きてしまった事実は変えられません。
たとえ小さな子供であっても、人の物を盗るのはいけないことですし、簡単に許されることではありません。
そこで今回は、「子供が友達の物を盗む!人の物をとる心理と親のすべき対応は?」ということで、万引きなど盗みをしてしまった子供の対処法をご紹介します。
親としては、大変つらい状況ですが、わが子をしっかりと支えてあげられるのも親だけです。
気持ちをしっかりと持って、まずは今できる精いっぱいのことを頑張っていきましょう。
子供が友達の物を盗む心理について考える!
まずは、塾講師の方が「子供がお金を盗んだり万引きする心理」について分かりやすく解説しているのでご覧ください。
まとめますと、子供が物やお金を盗む大きな原因のひとつに、「愛情不足」があるということです。
具体的には次の2つです。
|
これについて私なりに考えてみました。
1.放任(かまってほしい)
確かに、親の愛情が十分あれば「放任」はしないといえるでしょう。 もちろん、「放任主義」なだけであって「愛情不足ではない」、という親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、それは親側の都合で、子供側からしてみれば「愛情不足」と感じるということです。 |
2.過干渉(理解されずにイライラする)
愛情が足りていれば、子供の気持ちは理解してあげられるはずです。 つまり、干渉しすぎているほどなのに子供の気持ちを理解できないのは、気持ちを理解しようとしていない、もしくは理解しようとする努力が足りないのかもしれません。いずれにせよ、理解されないと感じる子供側からすれば「愛情不足」ということです。 |
さらにこれらのことをふまえて、さらに掘り下げて考えていきたいと思います。
どうしても親というのは、わが子が「盗んでしまった事実」にばかり目が行ってしまいます。
なぜなら、人の物を盗ってはいけないということは、これまでに十分教えてきたつもりでいたし、子供も当たり前のようにわかっていると思っていたからです。
だから親には、子供がどうしてそんなことをしたのかが、まったく理解できないというわけです。
目の前にいるかわいいわが子が、なぜそんなことをしてしまったのか、悪い子にでもなってしまったのか?それともそんな当たり前のことが理解できないのだろうか?など、いろいろな考えが頭をめぐり、混乱していることでしょう。
しかし、子供が人の物を盗ってしまう場合には、大人が考えているような意識とはずいぶん異なる場合があります。
ですから、ただやみくもに盗んでしまった事実にだけに目を向けて叱っても、全く解決にはつながりません。
それどころか、対応の仕方によってはますます子供の気持ちを踏みにじってしまい、同じことをくり返すような事態を招いたり、親の想いが全く伝わらないこともあります。
そうならないために必要なのは、まずは子供の心理を理解することです。
子供が友達の物を盗んでしまった理由
- 単純にその物が欲しくて、つい盗ってしまった。
- 友達にいじわるをされて、その仕返しのような気持で盗ってしまった。
- 友達のことがうらやましくて、ねたむような気持で盗ってしまった。
- そのものが欲しいわけではなく、自分でもよくわからずになんとなく盗ってしまった。
- ほかの友達とゲームのような感覚で盗ってしまった。
- 誰かに言われて盗ってしまった。
子供が友達の物や人の物を盗ってしまうのには、このような理由があげられます。
年齢や状況によっても異なりますが、大人が考える理由とは少し違っています。
盗んだ理由別に対応方法を解説!
1.単純に欲しかった場合
まずは欲しかったという本人の気持ちをしっかりと聞いてあげましょう。
そして、日ごろから子供が何かを欲しがった時に、頭ごなしにダメだと言っていないか?
子供が親に欲しいものを言えないような親子関係になっていないか?
振り返ることが大切です。
子供の心の中では、「どうせ親に言っても買ってもらえない」「親は自分の気持ちを聞いてくれない」そんな思い広がっているため、まずは親子のコミュニケーションを図ることが大切です。
具体的にはたくさん話をしてください。
そして子供の話もたくさん聞いてあげてください。
お互い意思の疎通ができる環境づくり(子供は自分の気持ちを素直に親に伝えられること、親は子供の話を聞いて納得できるルールの中で欲求を満たしてあげること)をすることで、きっと改善されるはずです。
2.いじわるの仕返しで盗った場合
まずは、いじわるされて辛かった子供の気持ちをしっかりと理解してあげてください。
親はどんな時にも自分の味方で、気持ちをしっかりと受け止めてくれる存在なんだという安心感を伝えることが大切です。
そのうえで、「いじわるをされたことはつらかったね、でもだからといって人の物を盗ることは絶対にいけないんだよ」と話してあげてください。
友達関係における解決策としては、まずは先生に間に入ってもらい、いじわるをした子とよく話し合うことが大切です。
そして『いじわるはいけないこと』『人の物を盗ってしまうこともいけないこと』ということをお互いが納得いくまで話し合い、友達同士の関係を築くことで改善できるはずです。
3.友達がうらやましくてねたむ気持ちで盗った場合
子供の中に満たされない欲求があります。
友達をうらやましがったりねたんでしまうような時には、自分もそうなりたいという欲求の裏返しであることが多いです。
まずは子供の話をよく聞き、無条件に子供に愛情を注いであげてください。
抱きしめてあげるのもよし、一緒に遊んだりスポーツを楽しむのもよし、頑張った時にはたくさんほめてあげること、間違った時には真剣に叱ってあげること、そして子供がいつも愛されているんだという気持ちをもてるように支えてあげてください。
親子の関係をしっかりと築いていくことで、子供は親を信頼し、大切な親が悲しむようなことはしないはずです。
4.理由もわからずなんとなく盗ったという場合
3の場合同様、子供の中に満たされない欲求があります。
子供がものを盗む行為は、愛情を欲しがる気持ちが招くといわれているように、親に愛されている自信がなかったり、自分に自信が持てなかったりする場合が多いです。
まずは親子のコミュニケーションを図り、親の無条件な愛情を注いであげましょう。
時間をかけ、少しずつ子供の欲求を満たしてあげながら、親子の信頼関係を取り戻しましょう。
子供の気持ちが満たされ、自分は愛されているんだという自信を取り戻すことで、改善されていくことでしょう。
5.ほかの子とゲーム感覚で盗った、6.誰かに言われて盗ったような場合
学年が上がるにつれて起こりやすい理由で、単純にふざけたという場合もありますが、時にはいじめのようなトラブルが隠れている可能性もあります。
まずはどうして盗ったのか、盗らなければいけなかったのか、子供とよく話し、気持ちをしっかりと受け止めてあげてください。
そしていじめが理由の場合には、慎重な対応が求められます。
親だけで解決するのは難しいため、先生や学校カウンセラーなど、専門家の協力を求めましょう。
病的窃盗(いわゆる窃盗癖、クレプトマニアともいう)
子供がお金や物を盗む(万引き)をする原因の1つとして、病的窃盗(いわゆる窃盗癖、クレプトマニアともいう)という病気もありますが、かなりまれなケースのようです。
その数は、一般人口の約0.3~0.6%程度とのこと。
さらに、「女性の方が男性よりも多い」というのは驚きですね。
有病率
窃盗症は、万引きで逮捕された人のおおよそ4~24%に見られます。一般人口における有病率は非常にまれであり、約0.3~0.6%です。女性は男性より多く、3:1の比率です。引用元:医療法人社団ハートクリニック
ちなみに、病的窃盗の原因は、
- 「心理社会的因子(いわゆる大きなストレス)」
- 「生物学的因子(おもに脳疾患)」
- 「家族的・遺伝的因子(遺伝によるもの)」
の3つに分けられるということです。
原 因
心理社会的因子
大切な人との別れなど、厳しいストレスが原因になると考えられています。また、フロイトは、母子関係に関連していると述べました。子どもが母親の財布から初めて盗むことは、すべての盗みが母子同一性に基づいているという考え方です。生物学的因子
脳疾患と精神遅滞が窃盗症と関係があるとされています。主な神経学的徴候として、大脳皮質の萎縮と、側脳室の拡大があげられます。脳内伝達物質「モノアミン」の代謝における障害、特にセロトニンの障害が関係していると仮定されています。家族的・遺伝的因子
窃盗症のある人の第一度親族(両親、兄弟、姉妹または子ども)は、7%が強迫性障害だったとする報告があります。加えて、その家族の中に気分障害が高率に見られるとも報告されています。引用元:医療法人社団ハートクリニック
病的窃盗の場合は、このような病院で治療を受けることもできますし、自己診断できるチェックリストもあります。
子供が人の物を盗る時に、親に求められるものとは?
子供が友達や人の物を盗ってしまうことは、親にとってとてもつらいことです。
しかし考え方によっては、親子関係を改めて見直すことができるチャンスでもあります。
ついつい忙しさに追われ、大切なことを忘れていませんか?
もう一度子供としっかりと向き合い、大切な親子の絆を深めていきましょう。
親子関係で見直すおすすめポイント
- 子育てにおいて、いけないことをした時にきちんと「叱る」ことは、しつけとして大切なことです。しかし、感情的に「怒る」ことは間違っています。改めてしつけの仕方を見直してみましょう。
- 普段からダメだと言い続けていませんか?否定ばかりされると、子供は自信を失い、どんどん気持ちが萎縮してしまいます。日ごろから子供の気持ちを考え、のびのび育つように支えていきましょう。
- 兄弟姉妹が多いと、なかなか一人一人に気持ちが向けられません。しかし、それは親の側の都合であり、子供には必ずしも理解できることではありません。時には下の子を誰かに預け、上の子と一緒の時間を作ることもおすすめです。何歳になっても、コミュニケーションは必要です。
- 子供が普段どんなものに興味があるのか、どんなものが欲しいのか、ゆっくり話を聞いてあげましょう。なんでも買い与えるのはよくないですが、ルールを決めてその中で希望を聞いてあげるのも有効です。
- 親として、日ごろから誠実な対応を心がけましょう。親がいてくれる、親は自分を理解してくれている、そんな安心感があれば、子供はまっすぐに大きくなれます。
「子は親を映す鏡(※子を見ればどんな親なのかがわかるという意味)」です。
子に起きたトラブルの原因が、親自身にも無関係ではないことを頭に入れておきましょう。
さいごに
いかがでしょうか?子供というのは、いろいろな経験をして大きくなります。
時には親を悲しませ、ハラハラさせ、悩ませることもあります。
しかし、どんな時にも、親がまっすぐに子供を受け止め、理解し、逃げずにともに歩くことで、必ず子供に伝わるはずです。
自分を信じて、子供を信じて、今できることを精いっぱい頑張りましょう。