子供を児童養護施設に預ける理由(入所理由)はどんなものがある?

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今の時代、様々な理由で育児を親のみが背負うことが多くなっています。

荒れている子供に躾がなっていないと周りから注意されることもあれば、片親で経済的な面も子供の育児もひとりですべて背負い込まなくてはならないなんてことも。

困っているのに、周りは誰も助けてくれない。

でも子供を施設に預けるなんて、母親失格なのではないか。

そんな風に一人で抱え込んでいる親御さんが、精神的に病んでしまうこともあります。

そうなる前に、行政から力を借りることを考えてください。

今回は、子供を児童養護施設に預ける理由(入所理由)はどんなものがある?ということで、児童養護施設を検討している親御さんに、施設の概要と入所理由をご説明します。

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児童養護施設とは?どんな子達が生活している?

 ▶ 児童養護施設は、子供たちに安定した生活を提供する施設
 ▶ 入所者の6割が、親から虐待を受けた経験がある
 ▶ 施設に入所するには、児童相談所や自治体の専門部署へ相談が必要

児童養護施設とは、どのような子達が入所しているのでしょうか。

一般のイメージだと親(保護者)が何らかの事情で居ない子供たちや、虐待を受けた子供たちが入る施設というイメージがありますよね。

厚生労働省のホームページで、実際にどんな子供たちが入所しているのか調べてみました。

簡単にいえば、様々な理由で安定した生活が送れない子供たちに、住む場所・食事・勉強や就職の支援などを行うのが児童養護施設です。

児童養護施設は、保護者のない児童や保護者に監護させることが適当でない児童に対し、安定した生活環境を整えるとともに、生活指導、学習指導、家庭環境の調整等を行いつつ養育を行い、児童の心身の健やかな成長とその自立を支援する機能をもちます。

引用元:厚生労働省

施設数は平成29年3月時点で615箇所、定員32,605人のうち26,449人が実際に施設で生活をしています。

 

少し古いデータですが、平成25年2月時点での在籍児童の年齢は下記の表のとおりです。

児童養護施設

在籍児童の年齢(平成25年2月1日現在)

年齢 児童数(人) 割合(%)
0歳 2 0.0
1歳 30 0.1
2歳 366 1.2
3歳 933 3.1
4歳 1,299 4.3
5歳 1,417 4.7
6歳 1,598 5.3
7歳 1,556 5.2
8歳 1,712 5.7
9歳 1,910 6.4
10歳 2,022 6.7
11歳 2,101 7.0
12歳 2,283 7.6
13歳 2,242 7.5
14歳 2,414 8.1
15歳 2,471 8.2
16歳 2,130 7.1
17歳 1,861 6.2
18歳 1,607 5.4
総数 29,979 100.0
平均年齢 11.2歳

参考:厚生労働省 P.42(参考)統計表等 をもとに作成

この表を簡単に解説していきます。

3歳以下は乳児院に入るケースが多いので、割合は少なくなっています。

メインは小学生~高校生の子供たちで、特に9歳~17歳の子が割合で多いことが表からわかります。

入所時に両親または片親がいる家庭は、81.7%です。

そのうち実父母ありは27.0%、実父のみが14.0%、実母のみが45.4%です。

保護者がいない割合より、実の親が居る方が圧倒的に多いのが実情です。

後ほど詳しく記載しますが、児童福祉施設に入所する理由のNo.1は「虐待」です。

児童養護施設に入所している子の約6割が、虐待を受けたことがあると答えています。

また、障害などのある児童も近年増加していて、平成25年では28.5%の児童が障害ありとなっています。

もし何らかの事情により児童養護施設に子供を預けたいと思ったときは、何処に連絡をすれば良いのでしょうか。

<連絡先>

  • 児童養護施設
  • 児童相談所
  • 民生委員・児童委員
  • 福祉事務所
  • 保健所
  • 市町村保健センター

 

何らかの事情により家庭で養育できない場合、そうした状況にある子どもにお気づきの場合、あるいは、子育てに関する不安や疑問を抱えている場合には、お近くの児童養護施設、もしくは児童相談所、民生委員・児童委員、福祉事務所、保健所、市町村保健センターへご連絡ください。秘密を守りながら、相談を受けることができます。

これらの連絡先は、お住まいの市区町村の児童福祉担当窓口でわかります。

引用元:全国児童養護施設協議会

 

まずは各都道府県が運営している「児童相談所」や市町村の「福祉課」に連絡をすることが必要です。

専門の職員が相談内容を聞いて、心理的検査や医師の診断・家庭環境の調査などを行います。

その結果に応じて生活指導をし、必要と判断したら児童養護施設に入所という流れです。

「入所したら全く会えなくなるのでは?」と心配する親御さんもいるかと思いますが、ひどい虐待などの事情がない限りは何らかの形で面会や交流は可能です。

なお、手紙や電話・面会など、家族と交流をしている児童は61.6%います。

子供を施設に預ける理由(入所理由)にはどんなものがある?

 ▶ 虐待や精神疾患は、母の割合が多い
 ▶ 施設に入所するには、児童相談所や自治体の専門部署へ相談が必要

 

具体的に、親はどのような理由で子供たちを預けているのでしょうか。

厚生労働省の資料から、平成25年2月1日現在の入所理由を調べてみました。

 

養護問題発生理由 人数(人) 割合(%) 父 / 母の割合
総数 29,979 100  
父又は母の死亡 663 2.2 父0.5% / 母1.7%
父または母の行方不明 1,279 4.3 父0.5% / 母3.8%
父母の離婚 872 2.9  
父母の不和 233 0.8  
父または母の拘禁 1,456 4.9 父1.4% / 母3.5%
父または母の入院 1,304 4.3 父0.6% / 母3.7%
父または母の就労 1,730 5.7 父3.2% / 母2.6%
父または母の精神疾患 3,697 12.3 父0.6% / 母11.7%
父または母の放任・怠惰 4,415 14.7 父1.8% / 母12.9%
父または母の虐待・酷使 5,411 18.1 父7.3% / 母10.8%
棄児 124 0.4  
養育拒否 1,427 4.8  
破産等の経済的理由 1,762 5.9  
児童の問題による監護困難 1,130 3.8  
その他・不詳 4,476 15.0  

厚生労働省 児童養護施設入所児童等調査結果

表11 養護問題発生理由別児童数 をもとに作成

 

これらの理由が解決に至ったとき、子供は親元へ戻ることになります。

入所するときも専門家の調査が必要なように、親元へ戻るときも専門家の判断が必要になります。

両親(保護者)がいない状態での入所は理由がすぐにわかりますので省略するとして、保護者がいる状態での入所理由にはどんなことがあるのか、掘り下げてみます。

虐待・ネグレクト(育児放棄)

入所理由で一番割合が多いのが虐待で、「父または母の虐待・酷使」18.1%です。

それに次いで多いのが「父または母の放任・怠惰」、つまりご飯を作らなかったり子供に無関心で世話をしないネグレクト(育児放棄)14.7%です。

特にネグレクトは、父1.8%なのに対して母12.9%と、母の方が割合が多いことが表からわかります。

特に虐待を受ける児童の数については、近年急激に増加しています。

児童相談所に報告される児童虐待の数は、1990年から2010年の20年で50倍以上に拡大しています。
児童虐待の背景には、母親の育児ストレスが挙げられます。実際、虐待行為の6割は実の母親によって行われているというデータがあります。

引用元:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル

近年社会情勢が大きく変化しているのに、未だに母親が育児の大半を担うのが日本の社会です。

自己責任論で育児の責任全部を背負ってストレスを溜め、その矛先が子供に向いてしまうこともあるのでしょう。

虐待の場合は通報等により発覚し、親の意思に関係なく養護施設に預けられることが多いのですが「今のままでは虐待をしてしまう!」と苦しんでいる親が福祉施設に相談をし、一時的に児童養護施設に預けるといったケースもあります。

児童福祉施設は親からの相談も受けているので、もしこのままでは手を出してしまうと思ったときは、早めに相談に乗ってもらいましょう。

父または母の精神疾患

精神疾患は全体の12.3%です。

育児ストレスやその他の原因により、親が精神疾患になり治療をしながら子を預ける方もいます。

子供が病気になったら休むのも、PTA会議に出るのも母親が未だに多いので、ママ友づきあいや仕事のストレスで精神を病んでしまい、子供を施設に預ける判断をする親御さんもいます。

こちらも母親が精神疾患になってしまった例が父親よりも多く、父0.6%に対して母は11.7%です。

ひとり親ではない場合、父親が精神を病んでも傷病手当等を利用し、母親が仕事と育児を担当することができますが、父親が仕事をしながら育児家事をすることが社会的にまだ難しいという面もこの数字から想像できますね。

父や母の就労、入院、拘禁など

仕事入院などで、物理的に子供と離れなければならなくなった場合も、児童養護施設の入所対象となります。

仕事や入院の他には父や母が警察に捕まった(拘禁)などの理由で、養護施設に預けられるパターンもあります。

どうしても子供のそばにいられない、そんな理由もあるのです。

児童の問題による監護困難

これは、子供が手に負えなくなってしまったという理由です。

例えば上の子の暴力が酷くて下の子も殴るようになってしまった、何度も家のお金を盗んで親が努力しても更生が難しいなど、道を踏み外してしまい家族と距離を取る子供も養護施設にいます。

他の家族にまで影響がでて共倒れになるよりも、行政の手に頼って時間をかけて更生したほうが良いと判断された場合、児童養護施設に預かってもらう形になります。

破産等の経済的な理由

経済的に子供を養育できないというのも、養護施設に子供を預ける理由の一つです。

例えば父親が一馬力で働いていて、母親が義理の両親を介護していたけれども、父親が事故にあったために多額の治療費が発生し、母親は父の怪我や両親の介護で働けずに経済的に困窮してしまった、などといったケースです。

養育拒否

「彼氏ができたから」「この子が嫌いだから」「別れた旦那に似ているから」という、親の勝手な理由で施設に子供を預けるのが「養育拒否」です。

悲しい事実ですが、一定数こういった親はいます。

さいごに

個人主義の今の時代、おせっかいな大人はいなくなり、自分から助けを求めないと助けてくれない世の中です。

今は行政や子育ての相談窓口がありますので、子供を施設に預けなければいけない……となる前に、どんどん助けを求めてください。

小さなことでも大丈夫です。

ひとりで抱え込まずに、まずは相談する勇気を持ってくださいね。

子供を児童養護施設に預ける入所費用!どのくらいお金がかかる?
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