おしゃぶりは効果的な寝かしつけグッズのひとつで、赤ちゃんの「吸啜反射」(きゅうてつはんしゃ)というものに基づいて作られていています。
吸啜反射とは、赤ちゃんの口の近くにおっぱいや哺乳瓶の乳首を当てると反射的に吸い付いてくるというものです。
赤ちゃんは何かを吸っていることで安心します。
それをうまく利用したものがおしゃぶりです。
しかし日本ではおしゃぶりの使用については賛否両論で、海外ほど普及していません。
実際に日本小児歯科医師学会でも、おしゃぶりを長時間使用することはあまり薦めていません。
でも、赤ちゃんが毎日毎日どうしても寝てくれないとお母さんは精神的にも肉体的にもとても辛いし、効果があるのなら頼りたいですよね。
平成17年に、小児科と小児歯科の保険検討委員会というものが行われており、そこでおしゃぶりの望ましいあり方について検討されました。
それも参考にしながら、新生児をおしゃぶりで寝かしつける際の注意点、おしゃぶりのメリットやデメリット、なども見ていきましょう。
おしゃぶりのメリット
メリットとしては、次のような点があげられます。
- スムーズに眠るようになる
- すぐに泣き止ませられる
- 子育てのストレスが減る
よく商品のうたい文句にある「鼻呼吸や顎の発達を促す」というのは、学問的根拠はないようです。
おしゃぶりのデメリット
お母さんの強い味方であるおしゃぶりですが、長時間・長期間の使用でいくつかデメリットも出てきます。
よく理解したうえで使用しましょう。
- 噛み合わせや出っ歯などの歯並びに影響する
- 発語の機会が減り、言葉の習得が遅くなる
- ぐずることに付き合ったり抱っこしてあやす機会が失われ、親子のコミュニケーションが減る
- 依存性がある
- 泣く度に使用することで、なぜ泣いているのかいつまでたっても理解できないことがある
- 5ヶ月ごろからの、口にものを入れたりなめたりしてそれが何か、危険なものなのか学習していくということを妨げる
このように寝かしつける度に、また泣く度にしょっちゅう使用したり、長時間使用しっぱなしだと、発達にも悪影響が出る可能性があります。
おしゃぶりの使い方と気を付けること
先程紹介したデメリットは、どれも長時間、長期的に使用した場合です。
長時間の使用は避け、できるだけ早くおしゃぶりを卒業するようにしましょう。
赤ちゃんがどうしても泣き止まない時だけ、どうしてもぐずって寝られない時だけ、あるいは病院や公共交通機関などの外出で静かにしていてほしい時だけ、など限定して使用することを薦めます。
また、おしゃぶりをしているとおとなしいからといって放っておいたりせず、積極的に赤ちゃんに喋りかけたり触れ合ったりするようにしましょう。
子育ての手抜きとして使用するのはよくありません。
そして、おしゃぶりは赤ちゃんが直接口に入れるものなので、毎日洗って清潔にしましょう。
新生児をおしゃぶりで寝かしつけるときの注意点
赤ちゃんが落ち着いたり、寝たりしたら(寝かしつけに成功したら)おしゃぶりは外しておきましょう。
ただ外すときにまた泣いてしまったりすることもあるので、あやしたりして気をそらし笑った瞬間にさりげなく外すなど、工夫しましょう。
泣く=おしゃぶりではありません。
おなかが空いていないか、おむつが濡れていないか、室温や衣服の調整はできているかなど、まずは考えられる原因を取り除いていき、あやしてあげましょう。
おしゃぶりを使用するのは、寝かしつけようとしてもずっと泣き続けている、どうしようもないという場合にしましょう。
おしゃぶりはいつからいつまで?
おしゃぶりは、新生児から使えます。
口の大きさなどに応じて、おしゃぶりのサイズも0ヶ月から使えるものがあります。
使用をやめる目安としては、歯が生えそろう1才半から2才ごろまでにやめましょう。
日本小児歯科学会でも、2才ごろまでに使用を中止すれば噛み合わせの異常は改善されるとしています。
おしゃぶりを使用している子どもは、使用していない小児と比較して上顎前突、開咬および乳臼歯交叉咬合の発現率が極めて高い。この傾向は1歳6か月、2歳でも見られるが、止めると噛み合わせの異常は改善しやすい。しかし、乳臼歯が生え揃う2歳半、さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が残ってしまう。
出典:日本小児歯科学会
あまり遅くなると、子どもも精神的にしっかりしてきておしゃぶりを辞めるのが大変になってくるので、注意しましょう。
筆者も子どもが新生児の頃になかなか寝なくて寝る前だけおしゃぶりを与えていましたが、辞めたのが1才頃だったのでスムーズに辞めることができました。3歳になった今、歯並びに影響は出ていません。
おしゃぶりと指しゃぶりの影響の違い
「おしゃぶり」と同様に「指しゃぶり」も歯並びに噛み合わせに影響を及ぼすとされていますが、日本小児歯科学会の調査によると微妙に影響する場所などが違うようです。
「おしゃぶり」が取れても、「指しゃぶり」にも注意しなければなりませんね。
<おしゃぶり・指しゃぶりの歯へのおもな影響>
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おしゃぶりや指しゃぶりと乳歯の噛み合わせとの関係を調べるため、米津は1歳6か月児、2歳児、3歳児、5歳児歯科健康診査に来院した1,120名について調査した。その結果、2歳児では指しゃぶり(吸指群)で出っ歯(上顎前突)が、おしゃぶり群で開咬が高頻度にみられ、5歳児ではこの傾向がさらに増大したと報告している。
出典:日本小児歯科学会
ちなみに、「開咬(かいこう)」とは、前歯が開いた状態になっているため前歯がかみ合わず、前歯で物を噛めない状態のことです。
おしゃぶりの選び方
おしゃぶりには、天然ゴム製とシリコン製があります。
天然ゴム製は、柔らかく赤ちゃんの口にフィットしやすいですが、軟化しやすいので頻繁に交換してあげる必要があります。
シリコン製は、弾力があり、長く使うことができます。
また、メーカーによっておしゃぶりの先が丸くなっていたり平たくなっていたりと、形も様々です。
他にも、暗闇でも探しやすいように光るタイプや、パーツを取り外して着せ替えられるもの、折り畳みができてかさばらないものなど、様々なものがあります。
赤ちゃんによって合う合わないがあったり、どのおしゃぶりも嫌がる赤ちゃんもいるので、無理にさせないようにしましょう。
赤ちゃんをおしゃぶりを使って寝かしつけた体験談
ここでは、先輩ママさんたちによる「赤ちゃんをおしゃぶりを使って寝かしつけた体験談」をご紹介します。
①赤ちゃんをおしゃぶりを使って上手に寝かしつけた方法(コツ・時間など)
②おしゃぶり、指しゃぶりの悪影響
の2点についてアンケートを頂いておりますので、ぜひご覧ください。
1. ハンドルネーム:kevin
2. 年齢:27才
3. 職業:専業主夫
4. 「おしゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:新生〜現在(生後4ヶ月)
5. 「指しゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:新生〜現在(生後4ヶ月)
①赤ちゃんをおしゃぶりを使って上手に寝かしつけた方法(コツ・時間など)
我が子の場合、抱っこ+おしゃぶりの組み合わせで寝かしつけを行っています。
具体的には、泣くのがある程度落ち着くまで抱っこする→おしゃぶりを咥えさせる。→そっとベッドに置くといった流れになります。
おしゃぶりがあることで赤ちゃんが母親の乳首と勘違いしますので、途中で目が覚める可能性も低く、抱っこからベッドに置く1番目を覚ましやすいタイミングでも、起きる可能性が低いスムーズな寝かしつけを行っています。
またおしゃぶり自体の大きさもポイントです。(咥える部分の大きさ。)当然始めは小さいもの、成長に合わせて大きめのおしゃぶりに移行していきます。
②おしゃぶり、指しゃぶりの悪影響
良くおしゃぶりは歯並びに影響するという話を聞きますが、いまは歯並びに影響を及ぼさないというふれこみの商品も多数有りますし、不安な方はそういった商品を活用をオススメします。
1. ハンドルネーム:koutakouta0726
2. 年齢:33歳
3. 職業:会社員
4. 「おしゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:生後3か月から2歳6か月まで
5. 「指しゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:2歳6ヵ月から3歳まで
①赤ちゃんをおしゃぶりを使って上手に寝かしつけた方法(コツ・時間など)
長女は生まれてからすぐに泣く回数が多い子でした。ミルクを飲んだり、オムツをかえても一向に泣き止まず、妻が抱いていても何の解決にもならないくらい泣き止まない為、ノイローゼになりかけていました。
そんなときにすがる思いでおしゃぶりを購入しました。最初はそれでも泣き止まず、妻もお手上げ状態でした。
しかし唯一ミルクを飲んでいる最中は、気持ちよさそうに目をつぶりながら飲んでいたのに気づいた私は、試しにミルクを飲んだ後そのままおしゃぶりに切り替えてみた所、なんとそのままおしゃぶりを加えながら眠っているのです。
その時は妻と二人で飛び上がり、口は抑えたまま静かに喜んだことを覚えています。
それからその作戦が功を奏し、我々夫婦もしっかり眠る事が出来るようになったのです。
②おしゃぶり、指しゃぶりの悪影響
おしゃぶりに関しては、あまりやると歯並びが悪くなる・歯が受け口なりやすい等と言われています。
うちの子も確かに若干下の歯が上の歯より前に出ている傾向です。
ただ、おしゃぶりのせいではなく、もともとの骨格なんかもあるので絶対ではないと思います。
ただ、あまり長い期間おしゃぶりをし続けると、歯並びや噛み合わせが悪くなる傾向も見られるので、注意はした方が良いでしょう。
1. ハンドルネーム:さら
2. 年齢:28歳
3. 職業:専業主婦
4. 「おしゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:2か月〜10か月
5. 「指しゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:してない
①赤ちゃんをおしゃぶりを使って上手に寝かしつけた方法(コツ・時間など)
母乳をあげているとそのまま寝てしまい、乳首を離すと起きてしまい、また飲ませるという時がありました。
その時は乳首が傷つき、自分も寝れないので辛かったです。
母乳をあげてもう飲まなくなり、くわえているだけになったら、おしゃぶりに変えます。
そうするとそのまましゃぶりながら寝ていきます。
そして、熟睡した頃におしゃぶりをとります。乳首が傷つく事もなくなります。
最近は、歯並びが良くなるおしゃぶりというのが売られてます。
最初からそれだとうまく使ってくれませんでした。
おしゃぶりのはじめは哺乳瓶に近い普通のおしゃぶりを使用して慣れてから、そういうおしゃぶりにするのがおすすめです。
授乳の時以外にも、眠くてイライラしてる時など、おしゃぶりをするとすぐに寝る訳ではありませんが、イライラせず落ち着きます。
それによって眠っていってくれます。
基本寝かしつけという寝かしつけはした事はなく、すべておしゃぶりでした。
それ以外はほとんど使いませんが、お出かけでどうしてもの時も使いましたが、スッと静かになってくれます。
②おしゃぶり、指しゃぶりの悪影響
10か月でやめたからか、歯並びに影響はありませんでした。
逆に鼻呼吸がうまく、口がポカンと開いてる事がないです。
1. ハンドルネーム:すいか728
2. 年齢:45歳
3. 職業:専業主婦
4. 「おしゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:新生児から10ヵ月まで
5. 「指しゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:10か月から1歳6カ月まで
①赤ちゃんをおしゃぶりを使って上手に寝かしつけた方法(コツ・時間など)
まずミルクをあげたり、しっかり授乳をしたりして、お腹いっぱいにさせてあげます。
それから、抱っこひもで赤ちゃんの顔が自分の胸の前にくるように抱っこし、おしゃぶりを咥えさせます。
赤ちゃんが口をモグモグ動かしても取れないように、手で軽く押さえ続けます。
もしくは、自分の胸でおしゃぶりをはさみ、押さえます。
そうすると、赤ちゃんがだんだん目をつぶってくるので、完全に寝るまで押さえ続けます。
目をつぶっていても、時々、モグモグ口を動かして、おしゃぶりがはずれると泣き出して、最初からやり直しになってしまいます。
赤ちゃんが完全に寝たと思ったら、そっと抱っこひもをはずして、赤ちゃんを布団に寝かせます。
布団に置いた時に赤ちゃんが起きそうになった場合は、自分の身体を密着させたまま、おしゃぶりを押さえ続け、本当に寝るのを確認します。
この寝かしつけはママ以外でもできるので、疲れた時に旦那さんなどにお願いできる嬉しい方法です。
うちの子の場合、成長するとおしゃぶりをプイッと出してしまうようになりました。
離乳食を始めたせいで味気ないと感じたのか、歯が生え始めたせいなで歯ごたえが嫌いになったのか分かりませんが。
おしゃぶりは新生児から1歳半ぐらいまで4段階に大きさが分かれていますので、サイズが違うものも試しましたが、だんだん使わなくなっていきました。
②おしゃぶり、指しゃぶりの悪影響
指しゃぶりも少しありましたが、歯並びや噛み合わせが悪くなることはありませんでした。
1. ハンドルネーム:カナコ
2. 年齢:35歳
3. 職業:専業主婦
4. 「おしゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:新生児から2歳まで
5. 「指しゃぶり」をしていた子供の年齢・月齢:1歳半から2歳まで
①赤ちゃんをおしゃぶりを使って上手に寝かしつけた方法(コツ・時間など)
コツというほどではないのですが、私の子供は眠くなると必ず横にゴロンと寝っ転がっていました。
そしてツルツルした布やビニールのようなものを手で触っていると安心するのかすぐに眠りにつくので、決まった時間にツルツルした物(お子さんによって好きなものが異なるかもしれませんが)を渡して静かにしてました。
私は絶対動かずに寝たふりしてました。
②おしゃぶり、指しゃぶりの悪影響
おしゃぶりは寝る前にあげると確かに睡眠に入りやすいのですが、寝るぞ!って時にどうしても体制によってはおしゃぶりが落ちて起きてしまいますので、それがきっかけで逆に起きてしまいます。
そして急いでもう一回くわえさせるとムニャムニャまた寝だすので、たまにおしゃぶりが原因で寝るのが逆に遅くなることがありました。
指しゃぶりはしゃぶってる指の皮膚が長期的に歯に当たっている部分が分厚くなって醜いです。
そして大変なのがしゃぶらないと寝ない事です。
2~3歳まではカワイイで済みますが大きくなるとやっぱり矯正する必要があるのですが、夜中寝てる時までは管理できないので矯正するのに一苦労しました。
最終的には、赤ちゃんに害の無いおしゃぶり防止用マニキュアで1週間で矯正できました。
さいごに
おしゃぶりは便利な育児グッズですが、親にとってのメリットばかりで赤ちゃんにとってはデメリットの方が目立ちます。
必ず使わなければいけないものではないので、育児で辛いときの最終手段と考えるくらいが良いでしょう。
そして、使用する際は使い方をよく考えて、上手に使いこなすようにしましょう。