乳児院は、両親がいない子供や虐待等を受けた子供のほか、入院等で赤ちゃんの面倒を見ることができない親も一時的に利用出来ます。
赤ちゃんの場合は常に様子を見る大人がいなければなりませんし、保育園が空いていない夜勤の仕事をしている人や、出張が多いひとり親などにはとても助かる施設といえます。
乳児院は利用するのに費用はいくらくらいかかるのでしょうか?
そこで今回は、乳児院の料金は?一時預かり(ショートステイ)の費用も紹介!ということで、乳児院の料金についてご説明します。
乳児院を長期利用するときの費用は?
▶ 基本的には公費で賄われ、所得により費用の一部を負担する
▶ 生活保護世帯は0円
▶ 減免措置がとられる場合もある
乳児院の利用パターンには、大きく分けて「短期利用」と「長期利用」があります。
そして各自治体によって費用や区分は違いますが、基本的には下記の3パターンでの入所となります。
- ① 7日間を限度とした短期入所制度(ショートステイ)
- ② 1カ月以上が予想される通常の入所
- ③ 緊急一時委託
③ 緊急一時委託は、虐待やネグレクト、母子の精神疾患などで赤ちゃんの生命の危機がある場合に児童相談所が判断して一時的に保護目的で入所させるものです。
こちらは例外的な緊急の措置ですので、保護された後に通常入所になるか保護者の元に帰宅になるかなどが決定します。
費用が計算されるのは、① ショートステイと② 通常の入所です。
乳児院は基本公費で運営されています。
運営している各自治体(都道府県または市町村)は、児童福祉法に則って費用の一部を保護者から徴収できることになっています。
乳児院を、② 長期利用(月単位の通常の入所)する場合の費用はどれくらいかかるのでしょうか。
所得税非課税の方は「市県民税の所得割額」、所得税が課税されている方は「所得税額」から費用を計算しています。
細かい価格は自治体によって違いますが、どの自治体も生活保護世帯で支払いができない世帯は0円、そして所得に応じて増えていく形をとっています。
では以上を踏まえて、実際にどのくらい費用がかかるのか見てみましょう。
乳児院を長期利用するときの入所費用(札幌市と東京都)
一例として、北海道札幌市と東京都で、乳児院を② 長期利用するときの徴収金基準額(入所費用)を紹介します。
階層区分 定義 徴収金基準額(月額) 札幌市 東京都 A 生活保護世帯等 0円 0円 B A階層を除き当該年度分の市町村民税の非課税世帯
0円 0円 C1 A階層及びD階層を除き当該年度分の市町村民税の課税世帯であって、その市町村民税の額の区分が次の区分に該当する世帯
均等割の額のみ(所得割の額のない世帯)
2,700円 4,500円 C2 所得割の額がある世帯 3,900円 6,600円 D1 A階層及びB階層を除き前年分の所得税課税世帯であって、その所得税の額の区分が次の区分に該当する世帯
15,000円以下 9,000円 9,000円 D2 15,001円~40,000円 13,500円 13,500円 D3 40,001円~70,000円 18,700円 18,700円 D4 70,001円~183,000円 29,000円 29,000円 D5 183,001円~403,000円 41,200円 41,200円 D6 403,001円~703,000円 54,200円 54,200円 D7 703,001円~1,078,000円 68,700円 68,700円 D8 1,078,001円~1,632,000円 85,000円 85,000円 D9 1,632,001円~2,303,000円 102,900円 102,900円 D10 2,303,001円~3,117,000円 122,500円 122,500円 D11 3,117,001円~4,173,000円 143,800円 143,800円 D12 4,173,001円~5,334,000円 166,600円 166,600円 D13 5,334,001円~6,674,000円 191,200円 191,200円 D14 6,674,001円以上 措置等に要する費用の全額 その月におけるその児童等に係る費用の支弁額
所得税と言われても給料天引きの場合は、自分がいくら払っているかピンときませんよね。
源泉徴収票がある方は「源泉徴収料」が所得税にあたりますので、確認してみましょう。
手当や控除などで所得税は変わりますので、一概に年収いくらだと所得税いくらというのは言えません。
所得税シミュレーターで計算すると、給与所得者の場合は以下の結果が出ましたので目安にしてみてください。
(参考)
課税所得が500万の場合 → 所得税額 約57万円 (D6)
課税所得が1,000万 → 所得税額 約176万円(D9)
また、様々な事情で前年度と所得が大幅に違う場合や、医療費がかかってお金を工面できないなど支払いが苦しい状況であったら、まず児童相談所の職員さんや自治体に相談してください。
実際減額や免除されるかどうかは各自治体の判断ですが、ほとんどの自治体で事情のある人の場合は減免の相談に乗ってくれます。
乳児院で一時預かり(ショートステイ)を利用するときの費用は?
▶ 各自治体により、価格設定に差がある
▶ 「生活保護世帯」や「住民税非課税世帯」は、減免の対象になる
▶ 窓口は、「児童相談所」か「役所の福祉課」
乳児院は急な入院や出張などで一時的に赤ちゃんの世話ができない場合、7日間を限度として一時預かりをしてくれる制度があります。(自治体によっては事情により延長できるところもあります)
一時預かり(ショートステイ)を利用するときの費用はどれくらいかかるのでしょうか。
ショートステイも、各自治体で価格を決めています。
ショートステイの料金
札幌市の場合と東京都の、主な自治体での実際の料金を見てみましょう。
札幌市
■利用料(1日あたり)
・生活保護世帯 :2歳未満児 0円
2歳以上児 0円・市民税非課税世帯:2歳未満児 1,100円
2歳以上児 1,000円・一般世帯 :2歳未満児 5,350円
2歳以上児 2,750円引用元:札幌市
東京都台東区
1泊2日 6,000円(食事付き)以降1泊ごとに3,000円加算
※減免制度について
生活保護受給世帯は、利用料金が免除されます。
住民税非課税世帯は、利用料金が半額になります。引用元:東京都台東区
東京都港区
1日3,000円(1泊2日で6,000円)です。
※生活保護世帯は利用料金を免除し、住民税非課税世帯は1日1,500円に減額します。なお、利用当日のキャンセルの場合は、別途キャンセル料金がかかります。引用元:東京都港区
東京都文京区
児童1人 1日(24時間) 6,000円
※生活保護世帯及び前年度の特別区民税が非課税の世帯は、利用料が免除されます。
※入所時に、利用日数分の利用料をお支払いただきます。
引用元:東京都文京区より一部抜粋
東京都板橋区
宿泊(1泊 24 時間以内)2,500 円
※24 時間を超える場合は、別途日帰り料金 1,500 円がかかります。日帰り(1日 9 時間以内)1,500 円
費用については、帰宅する日に施設にお支払いください。
※食事代とおむつ代はかかりません。
※生活保護世帯は全額免除、非課税・就学援助世帯は半額負担となります。引用元:東京都板橋区
こうして見てみると、ショートステイは各自治体によって価格に結構差がありますね。
けれども、こちらも「生活保護世帯」や「非課税世帯」には免除や減免の措置が各自治体で行われているのは、一般入所と変わりません。
ショートステイ事業の費用は、各自治体のホームページに載っていることが多いので、お住まいの市町村のHPの検索ボックスで「乳児院 ショートステイ」等で検索してみてください。
利用申請は、各自治体の児童相談所を通じて行います。
また、各自治体の役所の児童福祉関連の窓口で受付している場合もあります。
「保健福祉課」「児童福祉課」「こども家庭課」「子育て支援課」など、各自治体で窓口の名称が違いますので、受付等で担当の窓口を確認してくださいね。
さいごに
乳幼児の年齢は目が離せない時期ですので、子育ての協力者がいない場合、とても大変な思いをします。
乳児院のショートステイは、二人目の出産などで上の子の預け先がなく預ける場合や、シングルマザーの出張時など、様々な困りごとに対応してくれます。
保育園の一時預かり等では対応できない場合、児童相談所に相談してみてくださいね。